ハード/ソフトを垂直統合するLexxPluss、その特徴と魅力 — Interview Series #3

LexxPluss
Jun 13, 2022

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LexxPlussはハードウェアとソフトウェアの両方を開発している。しかし、その組織は「ハードウェア開発チーム」「ソフトウェア開発チーム」のようには分かれていないという。

今回は、その特徴的なLexxPlussの組織と仕事の魅力について、代表取締役の阿蘓 将也に話を聞いた。(Interviewer:橋本清花)

【プロフィール】
阿蘓 将也 | @MasayaASO
代表取締役
イギリスのマンチェスター大学大学院を卒業後、ボッシュ株式会社にて自動運転に関するプロジェクトを日本・ドイツにて歴任。世界初のレベル4自動運転システム「自動バレー駐車システム」の日本技術責任者として、日本市場導入と物流向け無人トラックの開発に従事。日本最大のモビリティ開発有志団体Deep4Driveの代表。2020年3月にLexxPlussを創業。

~目的志向のチーム設計~

(橋本)早速ですが、LexxPlussではどんなチームがあって、それぞれのチームでどんなことをしているんですか。

(阿蘓)技術系とビジネス系に分けられるのですが、技術系のチームは主に3つのチームになります。

Product Design and Integration Teamと

Robotics Platform Team そして

Software Platform Teamです。

Product Design and Integration Teamでは、例えば、現場の倉庫作業員に自動搬送ロボットを動かしてもらうために、タブレットで操作できるアプリを導入するのですが、現場のオペレーションに負荷をかけず、かつユーザーフレンドリーなUI・UXを設計するのが彼らの役割です。

またロボットやアプリに留まらず、台車もより使いやすいものを開発しています。自動搬送ロボットの上に載せる台車も、業界特有のものが数多く存在し、それぞれ使い勝手が良い・悪いがあります。加えて、ロボットだけではなく人間にも扱いやすいかを考える必要があり、様々な角度からお客さんの課題に最も適したデザインを追及しています。このチームは、技術力と掛け合わせながら、快適な操作性や、お客さんにとって使いやすく、喜んでもらえるような体験を追求している部隊です。お客さんの目に触れるという意味においては一番身近な存在ですね。

自動搬送ロボットの管理システムであるKonnecttは、直観的にわかりやすく操作できるようデザインされている。

(橋本)徹底したユーザー目線が大事ですね。その中でProduct Owner & Technical Project Managerというポジションがありますが、どんなことをするんですか。

(阿蘓)お客さんに付加価値の高い体験をしてもらうには何が必要かを考えるポジションです。やってることは商品企画に近いかもしれないですね。例えば、タブレットとのセット販売を提案するなど、どのようなソリューションで商品を売っていくかまでを考えてもらいます。単純にロボット開発が楽しいという人より、どう商品化してプロダクトの価値を最大化していくかを考えることにワクワクする、そんな方に最適なポジションだと思います。付加価値の高い技術を社会に実装することに燃えるような方たちです。お客さんから技術的なヒアリングをする立場にもあるので、直接、お客さんの生の声を聞いて、要望をプロダクトに反映できる魅力的なポジションです。

(橋本)なるほど、Robotics Platform Team やSoftware Platform Teamではどんなことをされているんですか。

(阿蘓)実際にロボットを作るチームがRobotics Platform Team とSoftware Platform Teamになります。前者では、電気システム開発や、メカ設計などロボット本体を作っていて、後者は、ロボットが自律走行するうえで必要な機能開発をやっています。シミュレーションをぐるぐる回してバグがないかとか、ちゃんとやりたい機能が実現できるような安全なシステムかを評価しています。Robotics Platform Team とSoftware Platform Teamは、お客さんと直接コミュニケーションを取るわけではないですが、自動搬送ロボットを作る上での基盤となる部隊です。下の図にあるように、より右側のチームはお客さんとの距離が近くて、お客さんに直接的な価値を提供するチームになります。一方で、左側はお客さんから直接見える部分ではないものの、本質的にとても重要な役割を担っているチームになります。

組織を技術要素で分けた図、右に行くほど顧客との距離が近い

~チームの境界はハード/ソフトではない~

(阿蘓)あと、僕たちの組織で特徴的なのは、ハードをやっているチームとソフトをやっているチームとを完全に切り分けていないところです。

(橋本)殆どの会社は完全に切り分けてるんですか。

(阿蘓)多いですね。僕たちの組織では、Robotics Platform Teamはメカや3D設計はもちろん、基盤である電子回路の設計や電子回路にのるソフトウェアの設計もやっています。

(橋本)では、チームごとの境目はなんですか。

(阿蘓)ロボットにはアップデートできる領域とできない領域があってそこが切れ目になります。例えば、インターフェースとか制御システムって結構簡単にアップデートできるんですが、組込みシステムと呼ばれるようなオリジナルな基盤の中に書き込むソフトは遠隔でアップデートできないんです。ロボットを導入する上で現場に行かなくてもアップデートできる領域をSoftware Platform Teamが管理していて、それ以外のアップデートできないソフトウェアや組込みシステムの領域をRobotics Platform Teamが担当しています。

(橋本)基盤となる領域と、どんどんアップデートして付加価値を増やす領域とをうまく構造的に分けていらっしゃるんですね。

(阿蘓)そうですね。ですので、それぞれの役割、責任分担がうまく機能するような組織になっています。

(橋本)物流倉庫の現場でいうと、アップデートするで領域とそうでない領域ってどんな場面になるんですか。

(阿蘓)細かい話になるんですが、ロボットが正常に動いているかや、フリーズしていないかなどのロボットの健康状態をウォッチするようなシステムは、アップデートしなくてもいいのでRobotics Platform Teamが担当しています。一方で物流倉庫の現場って季節や時間帯によって状況が大きく変わるので、現場のこだわりとかあらゆる倉庫内の環境に柔軟に対応する必要があります。従って、そのあたりはアップデートができるSoftware Platform Teamが管理しています。ソフトウェアを更新するだけで、即座に解決できるような状態であればお客さんにとって使いやすいですしね。

倉庫内を走る自動搬送ロボット

~ものづくりスタートアップこその魅力~

(橋本)なるほど!阿蘓さんからみて、それぞれのチームでの仕事の魅力を教えてください。

(阿蘓)Software Platform Teamでは、自動運転のソフトウェアの開発経験があり、ロボットに載るコアなソフトウェアや、ロボットを数十台管理するシステム開発など、ディープテックなソフトウェア技術を社会実装したい方にとって面白いと思います。

Robotics Platform Teamは、ゼロから自分たちで設計して、モノを作って、量産して、目に見える有形なものを世の中に届けたい方にとっては希少な体験ができます。スタートアップの会社ってITとかソフトとかが多いので、自分たちの手でモノをつくって量産できる経験は、他ではなかなかないです。

(橋本)ほんとに自分たちがいいと思っているモノを世の中に届けるっていいですね。

ビジネス系の職種についてはいかがですか。

(阿蘓)ビジネス系も技術系と同じくどんどん仲間を増やしてます。僕たちは、グローバルで勝つことを前提に事業を進めているので、日本だけではなく、海外のお客さんに商品を売る経験ができます。海外へ事業展開をする為のビジネスモデルを作ったり、海外のお客さんに向けて売る販売戦略を考えたり、グローバルに展開する為の資金調達や、一から海外のビジネスを構築できる、やりがいのあるポジションです。

~ロボティクスに燃えるメンバー~

(橋本)LexxPlussではどんな人が働いているんですか。

(阿蘓)大部分のメンバーは、もともと大企業で開発をしていて、本当は自分の能力を最大限発揮したいし、モノづくりに対するエネルギーもめっちゃあるけど、大きな組織であるがゆえに制限がかかって、やりたいことが実現できないって人や、スタートアップで実力をつけていきたい人です。あとは、ロボティクス分野という今後新たに広がっていく市場に自分の人生をかけたいという熱い人も多いですね。

(橋本)おお!いろいろな方がいらっしゃるんですね。

(阿蘓)20代、30代の人がメインで働いてますが、最年長は、50代の人もいらっしゃいますよ。イギリス、ベトナム、中国、アメリカ、ベネズエラなど3〜4割の人が外国籍で、残りは日本人です。コミュニケーションはとってもフラットで、みなさん日本語で話しますが、たまに英語が混じってるって感じですね。メンバー同士の横の繋がりも強くて、みんなでボルダリングに行ったりもしてます。この写真は、年末にみんなでご飯を食べに行った時の写真です。外国籍の方も多いので、お店選びはあえて日本っぽいところではなくおしゃれな感じのところをチョイスしました(笑)

(橋本)男性が多いんですね。

(阿蘓)そうですね、業界柄、今は男性の比率が高いですが、女性の採用も増やしたいと考えています。直近では、ソフトウェアのエンジニアでベトナム国籍の女性がメンバーになってくれて嬉しかったです。

~コミュニケーションは密接~

(橋本)阿蘓さんとメンバーとの距離感って近いんですか。

(阿蘓)近いですね。私自身が気を付けているところは、働いてくれているメンバーがやりたいことに集中できるような環境をつくることを意識しています。例えば、必要でないミーティングは極力少なくしたりしてますね。あとはエンジニアの人にはパワポを書かせないとか。パワポを書くこと自体に価値は無くて、コードを書くことや、ちゃんとお客さんに喜んでもらえるモノを作ることが重要です。組織として、どういう責任があって、どこに没頭してほしいのかをしっかり考え抜いた上で、メンバーにその想いや考えを共有しています。仕事に没頭できる環境づくりや、メンバーが明日も頑張ろうって思えるような働きやすい環境って何だろうっていうのは凄く考えてます。ちなみに、アメリカ出身のメンバーは年末に1か月休みをとって彼の故郷であるアメリカに帰省してましたよ。開発や事業に専念できる環境を提供することはもちろん重要ですし、その上でしっかりプライベートも大事にできるよう個別に対応しています。

あと、社内では、1on1ミーティングを実施しています。プライベートから仕事のフィードバックまでメンバーとはいろいろな話をしてますね。プライベートが不安定になると、仕事にもパフォーマンスがでなかったりするので、メンバーから相談があれば会社でも協力できるように努力しています。

(橋本)自分たちがやりたいこと実現するために、プライベートまでお互い腹をわって話されてるイメージを持ちました。

(阿蘓)なのでコミュニケーションはとてもフラットですね。表面上の関係ではなく、信頼構築をすることが一番大事です。悩み事があったときに、それを解決できる決定権をもっていることや、一緒に考える手段を考えることは凄く大事なことだと思っています。

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LexxPluss

Japan-based startup working on the next generation of human-centric autonomous robot for warehouses and factories / https://lexxpluss.com/