「ミッション・ビジョン・バリュー・クオリティ」から紐解くLexxPlussが目指す組織 — Interview Series #2

LexxPluss
Jun 6, 2022

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「持続可能な産業と持続可能な生活を」。これがLexxPlussのビジョンだ。一見すると抽象的にも聞こえるこのビジョンだが、実はこの裏には今の(特にものづくり)スタートアップが成長していくために必要なエッセンスが随所に盛り込まれている。

今回はLexxPlussという組織のビジョン・ミッション・バリューについて、代表取締役の阿蘓 将也にインタビューした。(Interviewer:橋本清花)

【プロフィール】
阿蘓 将也 | @MasayaASO
代表取締役
イギリスのマンチェスター大学大学院を卒業後、ボッシュ株式会社にて自動運転に関するプロジェクトを日本・ドイツにて歴任。世界初のレベル4自動運転システム「自動バレー駐車システム」の日本技術責任者として、日本市場導入と物流向け無人トラックの開発に従事。日本最大のモビリティ開発有志団体Deep4Driveの代表。2020年3月にLexxPlussを創業。

~Luxury(ラグジュアリー)をPlus(プラス)する~

(橋本)LexxPluss のビジョン・ミッション・バリューをお伺いする前にLexxPlussという社名の由来について教えてください。見た目からもスマートで洗練されているイメージを受けたのですが、社名にはどんな想いが込められているのですか。

(阿蘓)実は、LexxPlussを創業する前に、高層マンション向け自動搬送ロボットのプロトタイプを作っていて、ユーザーインタビューなどを実施したことがあったんです。高層マンション内の配達作業を全て自動化する搬送用ロボットですね。高層マンションの構内は移動距離が長くて出入口から部屋まで荷物を運ぶのは結構大変なので、搬送を全て自動化したらいいんじゃないかって。この時のロボットの名前が、LexxRooという名前だったんです。これは、「L」luxuryな「ex」experienceを「Roo」Robotのoperationで実現するという意味が込められています。

(橋本)なるほど。そこからLexx「Roo」から「Pluss」になったんですね。

(阿蘓)そうです。その後、色々試行錯誤する中、人手不足である物流業界向け自動搬送ロボットの開発に着手し始めました。「L」のluxuryという言葉は、「贅沢な」と訳しますが、他に「利便性・快適性」という意味もあります。我々の技術や知見を活かして「快適さをプラスにする」という想いからLexxPlussになりました。ちなみになんですが、価値が高いブランドってLとかRを使うことが結構多いんです。例えば、Louis Vuitton、ROLEX、LEXUSとか、、、そういう感覚値も多少含まれてますね(笑)

(橋本)LexxPlussという社名にはロボット感が全くないですね。では本題のビジョン・ミッション・バリューについても教えてください。

~持続可能な産業と 持続可能な生活を~

(阿蘓)私たちのビジョンとミッションは下記のように述べています。

Vision:

Sustainable Industry Sustainable Life
持続可能な産業と持続可能な生活を

Mission:

Solving Intrinsic problem, providing a new value with technology
技術と知識で本質課題を解決し、付加価値を提供する

まずビジョンについてですが、我々は、社会を支える産業が持続可能な状態であることを目指しています。SDGsとかそういう意味合いとは少し違っていて、いま我々が挑戦している物流業界は、私たちの日々の生活において欠かせないインフラであるにも関わらず、慢性的な人手不足に陥っておりギリギリの状態です。社会を支えるインフラ産業が20年、30年と絶え間なく生き続け、人々が豊かな生活を享受する為に何をしなければいけないのかという発想で、僕らの持っている技術や活力を社会に還元したいと考えています。

そのため、ビジョンの中にはロボットという言葉をあえて入れていないんです。私たちは、ロボットを通してありたい未来を実現したいと思っているのではなく、ロボットはあくまでも手段でしかないと考えています。社会を支える産業が数十年と持続する為には、ロボットかもしれないしその周辺のシステム開発が必要なのかもしれません。LexxPlussの技術や知見で持続可能な産業を支え、より豊かな社会を創出することが私たちの存在意義だと思っています。また、「持続可能な生活を」という部分については、BtoBで培った技術を基に、個人の生活の質の向上にも取り組む未来を描いています。

(橋本)ミッションについてはいかがですか。

(阿蘓)ビジョンで掲げている世界観を実現するうえで、果たすべきミッションと捉えています。我々の技術と知識で本質的な課題を解決し、新しい付加価値を提供することが我々の使命です。このようなミッションを受けて一人ひとりの価値基準を記したものが、バリューであるvalue culture and leadershipになります。これら一つ一つが、メンバーがミッションを実現する上での指針となるものです。

~not 顧客ファースト but 顧客課題ファーストが本質的な価値提供に~

(橋本)value culture and leadershipについて詳細を教えてください。

(阿蘓)value culture and leadershipは、our cultureとour leadershipに分けられます。まず、our cultureについてです。1つ目に、customer problem first(顧客課題ファースト)というものがあります。顧客ファーストという言葉はよく耳にしますよね。お客さんからあれもして、これもして、というものを何でもかんでも受け入れてしまうことは短期的には良いかもしれませんが、長期的にみると間違った方向に行き着く場合もありうると考えています。お客さんの真の課題ってそもそも何か、お客さんへ本質的な価値を発揮するには顧客ファーストではなく顧客課題ファーストであることをかなり意識しています。

例えば、物流倉庫では、パレットという板の上に荷物を載せてそれを押して運ぶんですが、パレットでの搬送を自動化したいという要望がお客さんからあったとします。しかしよくよく聞くと、パレットで運んだあと商品をどこの倉庫に登録するか仕分けする検品という作業があって、そこで担当者へ絶え間なく商品の受け渡しができ、スムーズに倉庫へ保管できるようにすることが、お客さんの本当にやりたいことだったということがあります。目的や前後の工程をしっかり把握し、自動化技術をどう活用していくことがベストなのか、新しいアプローチを提案することで、ああそういうやり方もあるんだって納得してもらえることも多いです。

次が、New Challenge for Intrinsic Valueです。本質的な価値の為に新しいチャレンジをしようという意味です。お客さんが抱えている課題解決の為には、恐れることなく、想像を超える新しいことにどんどんチャレンジする必要があると考えます。本質的な価値を発揮するには、現状維持ではなく、積極的に挑戦をしていく、この精神はすごく大事です。

最後のBe destructiveは、破壊的という意味になります。本質的に重要なことであれば、既存のビジネスに新しい風を吹き込んだり、既存のモノをいったん破壊して立て直す覚悟や強さも必要と感じています。

our cultureに続いて、our leadershipは、下記のように”decide now, act now” や”Have ownership” など8つの行動指針を掲げています。

~強い組織と弱い組織~

(阿蘓)組織の中では、「ほんとは何をしたいの」「何が課題なの」といった問いかけをしあう文化が根付いてます。Slackでも本質的!スタンプがよく使われていてメンバー間での共通言語ですね(笑)また、先ほどお伝えしたour leadershipが行動規範になっていて、人事制度の評価基準に組み込まれています。仕事の内容や結果だけを評価するのではなく、our leadershipの精神やプロセスも重要視しています。

課題解決に本質的!スタンプが使われている

あと、組織の話で言うと、個人的に、責任分担ってめちゃくちゃ大事だと思っています。強い組織と弱い組織を判別するには二つの問いがあると思っていて、一つ目の質問が、「役割分断できていますか?」です。多くの企業は、「はい」と答えますよね。大事なのは2つ目で、「責任分担って明確にできてますか?」という問いです。自身の役割は把握しているけど、責任が明確になっているチームって結構少ないと思うんです。一人ひとりの責任分担が明確でどこまでが自分たちの判断基準なのか線引きされている組織は強いです。我々の組織もチームごとの責任分担表があり、それをさらに細分化して個人の責任分担表も作成しています。これらが上手く機能し、それぞれが自身の責任を全うできれば、会社のやりたいことが実現して、会社も個人も成長できる、そのような構造を目指しています。なので、社長ではなく、メンバーが判断する場面も全然ありますね。

~Quality is source of innovation~

(橋本)モノづくりにおいて品質は基盤であると思いますが、LexxPlussでは「Quality is source of innovation」とあるように、製品・ビジネス・組織すべてに品質の指標が組み込まれてますね。

(阿蘓)はい、我々はハードウェアを扱っており、モノを作っている会社になります。

特にスタートアップでは、クイックにモノを作ることが大事ですが、「品質」は、作り手の果たすべき義務と捉えています。ここでは、工場などでの品質管理という意味合いではなく、メンバー一人ひとりが品質に関する情報を開示していて、品質に対する知見を日々磨いているかといったマインド面にも密接に関わっています。ビジネスプランを策定する時も、全ての要素で品質のことを考え、実行できるようにしています。

製品のチェックを行う様子

(橋本)開発をする人だけでなく、ビジネスチームも品質を考える機会を大事にされているんですね。

(阿蘓)品質とはフワっとしているものではなく、既に規格が存在しているので、アウトプットだけでなく、日々知見を深めてインプットとして取り込んでいます。

~それぞれの持ち味を活かす組織~

(橋本)なるほど。少し話がそれますが、LexxPlussは外国籍の方も多いイメージなんですが、どんな方がいらっしゃるんですか。

(阿蘓)出身で言うと、日本、アメリカ、イギリス、中国、ベネズエラ、スウェーデンですね。でもやっぱり日本人が比較的多いです。あと、みなさん日本語を話せるので社内公用語は英語ってこともないです(笑)

(橋本)それは安心です(笑)

(阿蘓)日本人メンバーも、学生時代に海外経験があったり、前職が外資系企業で働いていたりって人もいますね。我々は、グローバルで戦うことを見据えていて、グローバルで勝つことを念頭にいれている会社です。そこがいいと思って入ってきてくれているメンバーも多くいます。あとは、日本のthe 大企業みたいなところで働いていて、本当は自分の能力を最大限発揮したいけれど、大きな組織であるがゆえに制限がかかってしまい、やりたいことや成し遂げたいことが実現できない。そこに違和感を覚えて、我々のビジョンやミッション、組織風土に共感して入ってくれる人も多いですね。

グローバルな環境

(橋本)今後、どういう組織でありたいですか。

(阿蘓)一つの凝り固まった観点でしか物事を見れない組織にはしたくないです。国籍や性別の違いがダイバーシティかと問われると、もちろんそれだけではないと思ってます。国籍、性別、考え方、バックグラウンドなどいろんな価値観をもった人が集結し、ディスカッションして、一つの課題解決の実現に向けて一丸となれる、そんな組織でありたいと思っています。

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LexxPluss

Japan-based startup working on the next generation of human-centric autonomous robot for warehouses and factories / https://lexxpluss.com/