LexxPlussは現在、製品を紹介するためのデモスペースを制作している。
なぜ専用のデモスペースを設けるのか、そして何を達成したいのかについて、2人のエンジニアに話を聞いた。
◎インタビューしたエンジニアの紹介田中 アレックス Production&Quality Engineer / Robotics Platform Team生産と品質に関するロボットの組み立て、組み立てにあたってのマニュアル作成・出荷確認項目の作成等を担当。飯田 進之介 Software Engineer / Software Platform Team2022年1月入社。搬送ロボット(Hybrid-AMR)のソフトウェア開発を担当。物流倉庫内で複数台の搬送ロボットが互いに衝突したり滞留することなく、荷物の搬送を円滑に行えるようにするための交通ルールの設計や地図作成、動作パラメータのチューニング等を担当。
~LexxPlussのデモスペースに潜入~
(橋本)初歩的な質問になってしまうのですが、そもそもデモスペースって何の為にあるのですか。
(飯田・Alex)一言で言うと、「ユーザー企業様にロボットの実物を見てもらい、体感してもらうこと」です。ロボットが走行する様子をご覧いただいて、実際にロボットを活用する時の具体的なイメージを膨らませてもらうということですね。デモを通じてお客様の生の声や有益な情報をもらって、ロボットやサービスにさらなる磨きをかけています。デモスペースに数時間も滞在される企業様や、ロボットが実際に走行する様子を動画に撮影される企業様もいらっしゃいますよ!デモスペースを通して、より具体的なイメージを描いて頂けたら嬉しいですね。
(橋本)デモ制作においての飯田さんのご担当は?
(飯田)色々担当したのですが、まず1つ目がデモスペース室内の初期地図の作成になります。ロボットをどこから走らせようかなど、ロボット走行時のレイアウトを設計しました。この初期地図がないとロボットは動くことができないんです。地図がロボットの脳内にインプットされることで、その地図をもとに障害物の動きや位置を把握し、ロボットは自律して動くことができます。
(橋本)その初期地図というものはどのように作成されたのですか。
(飯田)まず、LIDARと呼ばれるセンサーで、照射したレーザーの反射で室内の物体がある位置をスキャンします。ちなみに下の図が作成した地図なんですが、白の斑点がレーザーに照射された部分で、水色の箇所が障害物というようなイメージです。ロボットが走行する時も、このレーザーをつかって障害物の動きや場所を認知しています。
2つ目なんですが、そもそも私たちのロボットはAMR(自動運転技術を用いて自律的に走行するモード)とAGV(床に敷いたバーコードの上に沿って軌道走行するモード)の2つの機能が備わっていて、このAGV機能に必要なバーコードをどの位置に設置するのかも考えました。ちなみに、AGVモードでは1㎝以内の範囲で制御ができるので、的確な場所への走行が実現できます。
(橋本)かなり精度が高い…!
(飯田)例えば、こんな感じで(写真の通り)充電ステーションにロボットをドッキングさせる時はかなり精度が求められるので、この周りにバーコードを敷いてロボットが通る道をつくります。
(橋本)なるほど…!
(飯田)あとは、ロボットが走行する出発地点と終着地点を地図上に組み込む作業も行いました。ユーザー様は、タブレット端末を用いてあらかじめ登録しておいたルートをワンクリックするだけで、ロボットの走行ルートを指示できるんです。ロボットが走行するメニューもA地点→B地点やC地点→E地点といった感じにいくつかパターンがあります。そのスタート地点とゴール地点を地図上に組み込みました。
(橋本)ロボットはこの(写真の通り)タブレットで操作するんですね!しかも、タブレットの様子がプロジェクターにも投影されていますね。
(Alex)そうなんです。実際に、現場ではユーザー様自身がタブレットを使ってロボットを操作することになります。なので、デモスペースでも実際にタブレットを使いながらロボットの動きを見てもらっています。ただ、タブレットだと画面が小さく、何を操作しているのか分かりづらいので、プロジェクターにタブレットの画面を映すことでかなり見やすくなりました。また、タッチやスクロールをした箇所がプロジェクターの画面にマークされるような工夫もしてます。初めは、テレビの画面やモニターでもいいんじゃないかって悩んでいたんですけど、より多くを見せたい!とプロジェクターにしました(笑)
(橋本)わかりやすいですね。ところでこれ(下の写真)はベルトコンベアからロボットへ荷物を移動させようとしているのですか?
(Alex)そうですね。ベルトコンベアからロボットへの荷物の受け渡し作業を自動化しています。既存のベルトコンベアの左右先端にモジュールを追加しました。モジュールとはこの小さく連なっているローラーのところです。このモジュールを追加したことで、オレンジのオリコン(折りたたみコンテナ)がベルトコンベアの左右に移動して、黒いフォーク型の受け手を通ってロボットが荷物を受け取れるようになっています。
(橋本)この(下の写真)台車もLexxPlussでつくられたんですよね。
(Alex)そうです。ロボットだけでなく台車も作っています。他社のロボット会社では、台車を改造しないと運べないことがよくあります。私たちは、台車を改造せずにロボットを使える工夫もしていますが、自分たちでも台車を作っています。
(Alex)あと、これ(上の写真)はロボットがテスト走行をしている様子です。現場では様々な形状、重量の荷物を運んでいるので、現場で想定される重い荷物を載せてテスト走行をしています。
~デモを通じて達成したいことは~
(橋本)最後に、お二人のデモにかける熱い想いを教えてください。
(飯田)デモは、ロボットのファーストインプレッションを左右する貴重な機会です。ユーザー様にデモを見て頂き、現場でロボットを活用するイメージをより具体化してもらいたいと考えています。なので、ユーザー様が理解しやすいレイアウト設計を意識していて、現場さながらの状況をデモで再現するようにしています。それによって、物がたくさん置いてある雑然としている現場の環境下で、本当にロボットは障害物を避けて通れるのかなどの、ユーザー企業様からの一つ一つの疑念を解消できるようにしています。今後も、物流倉庫の現場感に近いデモスペースを作り、よりいっそうデモの中でできることを増やしたいです。現場さながらのデモを見て頂くことで、使うシーンがイメージできた、デモを見に来て良かったと言って頂けると嬉しいです。
デモを通して、ユーザー企業様が物流の自動化に向けて具体的なアクションに踏み込むお手伝いができたらなと思っています。
(Alex)私も、ユーザー企業様の印象に残るようなデモをつくりたいです。それに向けて、実は他のロボットメーカーのデモスペースにも出向いたりして色々研究をしています。そこで気づいたことなのですが、デモの見せ方は会社さんによってそれぞれですが、ロボット目線でデモを作っている会社さんが比較的多いなという印象はありました。本当にその機能は重要なの?と思うような機能を全面的に見せている場合も多くて。ユーザー様が困っていること課題により焦点をあて、実際の現場環境を再現しつつ、実用的で良いと思って頂けるようにしたいです。また、私たちはロボットも以外の台車も開発しているので、総合的な良さを感じてもらえたらいいですね。
(橋本)洗練されたデモスペースで恰好いいですね。お二人ともありがとうございました。
他のメンバーとも協力しながら、全員でデモスペースを創り上げたという。
ちなみに…デモスペースの一角にメンバーみんなが使える懸垂のスペースを作ったとのこと。
LexxPlussでは、ともにインフラ産業の本質的課題解決に取り組む仲間を募集しています。
少しでも話を聞いてみたいと思った方は、以下のリンクよりぜひご連絡ください。